伊藤蘭さん3rd Album となる LEVEL 9.9 の3曲目に収録されている「なみだは媚薬」
作編曲致しました。
作詞は松井五郎氏
曲の依頼が来たのは昨年10月辺りか・・・。
音楽プロデューサーそして作家でもある川原 伸司さんからの依頼で蘭さんではデビューアルバムに「恋とカフェインとスイーツと猫舌」を提供されています。
実は当初、作詞の候補が違うかたで私のところにオファーが来ましたが曲のイメージは言い渡されていたので曲先で書きました。
蘭さんといえば私はコンサートアレンジに携わらせて頂いております関係上もあり
ご本人や事務所の方はじめサポートメンバーなどなど、一通り面識などあったりするものなのですが・・・。
従ってレコーディングの制作スタッフも概ね把握しております。
言えることは、人がかなり多め・・・であります。
そんなわけでこのお話しもありがたく、しかしなかなか茨の道なのだろうと思いながらコツコツ作業を進め始めました。
人が多いと言うのはなかなか大変で各所からよかれと思う作家を推薦し曲を集めてそれを聴く、選曲も大変だと思います。
必ずしもみなさん意見が一致するとは到底思えないのであります。
ちょっと裏的なことになりますが、伊藤蘭個人名義でのこれまでのアルバム2枚に収録されている楽曲は全部で20数曲であると思いますが、なんと200曲前後もの中から選んだそうです。要するにコンペですね。
中には決め打ちで話を進めたケースもあると聞いています。川原さんの曲もコンペではないことが条件だったそうです。
今回の私の場合は川原さんからバトンタッチして(川原氏はアルバム制作のスタッフではない)制作のかたとお話を進めることになりその時点で作詞は未定、また私の曲も決まるかどうかわからないと言われました。つまり私もコンペであるということです。発注を受けた時はそのようには聴いてはいなかったのですが予想はしており、やはりそう来たな・・・という胸の内。
コンペというスタイル、私は否定しませんがケースバイケースかと。
今どき実は制作サイドに問題があろうかと思いますがオーダーそのものが確固たるものを提示出来なくなっているのでとにかく「良い曲、合う曲」など曖昧なオーダーで曲を集める方法も少なくないようにように感じます。
具体性が乏しく書く我々作家は焦点がぼやけコンペともなればモチベーションを上げるのが難しいです。そもそも感じる圧力が全く違います。
それでも今回は川原さんの推薦に報いなければという一心で楽曲制作を進めました。
オーダーはリファレンスを提示されていてその曲のどことどこがポイントなのか、これを見出して自分から出てくるものに上手くその要素を組み込ませるかで決まると思います。
今回はピアノのフレーズであったり、サビのメロが一つずつ音を置きにいくという二点が主です。
歌詞がないので、後者は作詞が決まってからそのように書いてもらう必要がありました。
時間は充分にあったように思いますが、述べたようにスタッフが多め…なのがネックかも知れずワンコーラスのデモを提出後、1ヶ月以上音沙汰がなく11月になってからフルサイズで作って欲しいと連絡が来ました。
一次テスト合格だと思いますがこの時点でもまだ正式に決まった訳ではないと言われました。簡単なデモで良いと言われていましたがアレンジ込みで作り込んでいたので録るのであれば自分の編曲でやりたいという一心です。
やはりアレンジまでやらせて頂かないと曲そのものの表現は不充分。これもケースバイケースとは言うものの私の場合はほぼそうです。
年末近く、作詞は松井五郎さんにお願いすると再び制作サイドから連絡を頂き、この時点でこの曲は決まっただろうと思った次第です。
その後は松井くんからの質問や2人のやり取りで歌詞が決まって行き、キーの変更も2度あったりなかなかゴールが遠い一曲でしたが、伊藤蘭さんの今までにない横ノリで そして「大人可愛い」雰囲気の曲が出来ました。
コーラスも当初はツアーメンバーが全てやるとのことでしたが、アレンジ上コーラスも入れておく必要があり私のトラックが採用になりちょっと異色かも知れませんが蘭さんの新境地になったかなと思っています。
そんな道のりを踏んで仕上げられた渾身の一曲
「なみだは媚薬」
ぜひお聴き下さい。
各配信でも聴くことができます。