用賀駅を降り、歩くと少し遠いのだが砧公園の中にある世田谷美術館。駅の改札を出ると既にアートな雰囲気でそこからもう美術館に行くんだ・・・とときめいてくる。かなり長いけど駅がイントロなんだ。
世田谷美術館に初めて訪れたのだが、大学の同級生が勤務しており、今やっている「ダニ・カラバン展」は私が好きそうだから、と招待券をくれたので来てみた。
ダニ・カラバンはイスラエルの人で今もなお活躍中。まぁ、結構なお年ではあるに違いないけれど感性は衰えない=の最たるもの。
正に芸術家であるが発注があって初めて作品を創るという職業作家のようだ。自己満足じゃだめだというポリシーらしい。
展示作品は絵画/挿絵/グラフィック/舞台美術/壁画/彫刻/レリーフ/環境彫刻/インスタレーションと幅広くここでは語っても伝わる訳はないけど引き出しが多く一点一点『なるほど~…』と言ってしまうような素晴らしいものばかりだった。
中でも一番最初に視界に飛び込んで来る「水滴」という作品は広く敷き詰めた白い砂の上に黒い石炭を三角錐に積み上げたものが4つ、置かれていて、その向こうはいつもは閉めている窓を明けて砧公園の緑が背景になる展示の仕方だった。その円形の窓に中央には大きな樹が見える。
偶然とは言え憎い演出だ。
暫く館内を進んでいると努めている友達が「いたいた~、あれをエツに見せたかったんだよ」とうしろから駆け寄って来て小声で言った。今日の勤務時間は4時までらしく上がるところだったようだ。「ありがとう、お疲れ」と言った私は何かスーっとした気分になった。